2008年07月03日

「しろばんば」

◇「しろばんば」 井上靖

 5歳の少年、洪作の父は軍医でした。母が妹を身ごもった時、
洪作はおぬい婆さんに預けられたのでした。
 幼年期の少年がだんだんと成長し、やがて思春期にさしかかろうと
するまでが描かれています。

おぬい婆さんと土蔵の中で暮らした日々は、洪作にとって、まさに
人生の核となる人格が作られる成長期の中にありました。
 洪作は、おぬい婆さんや、本家の人々、親戚達、そして村の人々
など、たくさんの人とのかかわりを通じて、幸せな少年期を過ごします。
 田舎の暮らしは、平凡で変化のないものですが、わんぱく盛りの
少年達の毎日は、一日が一日では足りないくらい、様々な発見や
冒険のあふれた豊かなものだったにちがいありません。
 洪作が、幼年期から少年期へと成長していく様子を、生と死と
様々な日常の出来事を通して、細かに手に取るように、生き生きと
描かれています。

 自分を庇護してくれていたおぬい婆さんに、いつもぴったり
くっついてうしろに隠れていた洪作。
ある日、おぬい婆さんがひどく小さく見えたときのとまどい。
そして、おぬい婆さんを心配し、守ってやらなくてはならないと
思っている自分に気付いたときの、驚きと切なさ。
いつの間にか、洪作は成長し、おぬい婆さんを超えなければいけない
年齢になっていたのです。

 純真な少年の切なさと悲しみに心が打たれます。

あの頃は生も死も、生活の中にありました。良いことも、悪いことも
皆で分け合い、心の豊かな時代でした。
 久しぶりに、清清しい気持ちになれる作品に出会いました。
あわただしい日常の中で、煤けてしまっていた心が、なんだか
きれいになったような気がします。

  ・・でも、洪作がおぬい婆さんに預けられたいきさつが
 いまいち引っかかって、そこだけ(?)が残りますけど。
ラベル:井上靖 読書
posted by ふうたんかあちゃん at 15:09| 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月08日

「スパイク」

◇「スパイク」 松尾由美

 スパイクという名のビーグル犬を中心にした、SFで、ミステリーな
小説です。
 パラレルワールドいわゆる「平行世界」で生きていた、2人と2匹が
ありえないほどの偶然を重ねて、出会ってしまった。
片方は男性で、片方は女性。でも、お互いにつれていた犬が
同じ犬だった。
ただし、あちらの世界と、こちらの世界での。

 ほとんどそっくりな、一見区別がつかないような別の世界が重なり
会うように存在していたら。
ありえないようだけど、本当は、気付いていないだけでそんな世界が
あるのかもしれません。
 あの時あの人に会っていなかったら。あの時あの会社に入っていた
ら。あの時雨が降っていなかったら・・・。
人生の中で、分かれ道は無数にあって、今の自分はたまたまこの道を
通ってきただけの人生だったら。これまで、枝分かれしていた人生が
ずっと別の世界で続いていたら・・・。

 あの時、あの道を通っていたら・・・。
posted by ふうたんかあちゃん at 14:16| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年06月03日

「私の遺言」

◇「私の遺言」 佐藤愛子

 北海道の山あいの土地が、私を引き付けていた。
何も考えずに決めてしまった。私は、ここに山荘を建てる。
そうせずにはいられなかった。

(目次)
 1章:試練の始まり
 2章:心霊世界の扉が開く
 3章:宿命を負わされし者
 4章:神界から来た人
 5章:死後の世界

・・・という佐藤さん。そして山荘は建ちました。
それから、30年に及ぶ霊界とのお付き合いが始まったのです。

屋根上の足音や、ラップ音はもはや日常となり、困ったのは
物がちょくちょく消えてしまうことでした。
換気扇を外して外に並べてあったり、ダンボールごと荷物が
消えてしまっていたり。はたまた、とんでもないところから
リモコンなんか出てきちゃったり。

様々な霊能者をたずねて回り、ようやく解ってきたのは
佐藤家の先祖と、その土地にもともと住んでいたアイヌの人々との
因縁だったのです。

今まで全く心霊世界とは、無縁だと思っていた佐藤さんでした。
しかし、ひとつひとつ真実が解き明かされていくうちに、
霊界の真実とメッセージを、この世に生きる人々へ伝えることが
自分に与えられた使命だと気づきます。

怖い目にあいながらも、夏になるとまた山荘にでかける佐藤さんでした。

・・・小指が痛くてENTERキーがうまく押せません・・・。
posted by ふうたんかあちゃん at 18:44| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月31日

「農家の嫁の事件簿 こちら北国、山の中」

◇「農家の嫁の事件簿 こちら北国、山の中」 三上亜希子

 ブログから、新しい本が出ました。
とっても楽しいイラストで、とっても楽しい農家の様子が
生き生きと描かれています。
筑波大学大学院を卒業された三上さんが、岩手の山の中の
農家に嫁いでゆきました。
北国での、四季折々の様子が情景豊かに伝わります。

携帯電話は県外で、街までは片道一時間。
でも、そんな山里にはあたたかい家族と、
家族同然のご近所さんたちとの暮らしがありました。
美味しい空気と、美味しい自然の食べ物と、美しい星空に囲まれて
田舎っていいな〜と、あこがれてしまいます。

「農家の長男の嫁」のイメージが革命的に変わった一冊です。
とにかく、イラストがいい味だしていて、大好きです。
ずーっと眺めていても飽きない、三上さんのお人柄が伝わる絵です。
なんども、なんども取り出して眺めてはにんまりしてしまいます。

心がささくれていたり、疲れている人に是非おすすめ!!
ラベル:ブログ本
posted by ふうたんかあちゃん at 16:11| 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月27日

「卒業」

◇「卒業」 重松清

 親が子を思う心。
 子が親を思う心。
 自分が親になってみて、母の気持ちが痛いほど
解ってしまった今、消してしまいたい自分の過去が
山ほどあるのが、とてもつらい。

 家族だから言わなくても伝わる言葉がある。
 家族だから言わなくては伝えられない言葉がある。

まだ若かった頃の私には、母の言葉が届かなかった
時期もありました。でも、もう何も言わなくても母の
気持ちが痛いほどわかります。
しかし、逆にそれが寂しく、悲しいのはなぜでしょう。

人は、人生の中で幾つもの卒業のときを迎えます。
いつかは来る、親との卒業の時をどうやって
受け止めればよいのでしょうか。
そしてそのとき、「卒業」するのは、
親なのでしょうか。子なのでしょうか。

どんなに遠く離れて暮らしていても、
家族は、ぴったりと心を一つに寄せ合って、
互いに思いやりながら過ごせたなら
それは、きっと幸せな事なのでしょう。

とても重くて、悲しいお話でしたが
前向きな気持ちにさせてくれる本でした。
ラベル:卒業 重松清
posted by ふうたんかあちゃん at 19:22| ☁| Comment(4) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「狐罠」

◇「狐罠」 北森鴻

 「旗師」とは、店舗を持たずに自分の鑑定眼だけを頼りに
商いをする、古美術商のことです。
そして、「目利き殺し」とは、プロの古美術商を贋作でだます
手口のこと。
宇佐美陶子は、女ながらの旗師です。その宇佐美と、同業の
橘薫堂との化かし合いの火花が、今、まさに切って落とされた。

 贋作か?本物か?
狐と狐の化かし合いです。古美術商の世界の中の
醜悪な影。
おまけに、殺人事件も加わってしまいます。

 もしも、本当にこんなことがあったら・・・。
古美術をながめてみる機会があったら、
「これって、本当に本物?」
なんて思ってしまいそう!
ラベル:北森鴻 狐罠
posted by ふうたんかあちゃん at 19:12| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月22日

「確かに生きる〜10代へのメッセージ〜」

◇「確かに生きる〜10代へのメッセージ〜」 野口健

 「確かに日本は世界的な経済大国になりました。
  でもなにか大きな目標を見失ってしまったように、ただ漂流
  しているように感じる。羅針盤を失ってしまったために頑張れ
  ないような気がします。
  『不確かな時代』だからこそ『確かに生きる』ことが求められて
  いる気がしてならない。」

 ちょっと日本人離れした顔立ち。少年ぽさが残る青年だが、目の光
が尋常じゃないといつも思っていました。
強い精神力と、生命力のエネルギーが、目からあふれ出している
ようでした。
 野口さんのことは、清掃登山していてネスカフェのCMにでていた人
くらいの知識しかありませんでした。でも、常に私の意識の片隅の
定位置に存在感を放っていました。
 お父様が外交官でいらしゃったために、野口さんは世界中を見る
事ができたそうです。そして、実に波乱万丈な人生を送って
いらっしゃいます。だからこそ、自由でユニークな発想が
うまれるんですね。
 
 『人に頼るな』『そもそも平等なんでない』
 『人の中で傷つくことが大事』

なんて、”10代に送るメッセージ”にしては、とても過激で
厳しいお言葉です。でも、どれもきちんと真実を言い当てていると
思います。
 命を駆けて使命を果たすために山に登っている(だけではない
のですが)野口さんだからこそ、語れる言葉があります。
そして、どの言葉もストレートに胸に突き刺さってきます。

 自分の歩く道を確かなものにするために、
1人でも多くの若者たちに是非読んで欲しい一冊です。
ラベル:野口健 清掃登山
posted by ふうたんかあちゃん at 21:43| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月21日

「ヒットの「色」じかけ」

◇「ヒットの「色」じかけ」 高坂美紀

 カップヌードルはやコカコーラが売れ続けているのには、
訳があった!!
まさに、『色』の秘密が今、解き明かされるぅ〜!!

 そうなんです、全ては『色』に意味があったんです。
驚きばかりでした。

 その時の好きな色で心理状態が解ってしまったり、着ている服で
その日のデートがうまくいくかどうかが、左右されたり。
人がこんなにも、『色』に関わっているなんて知りませんでした。
 まあ、たしかに具合が悪くて病院に行ったら、ディズニーランド
さながらのカラフルコスチュームの看護士さん達だったら、
うんざりですものね。

 ”赤いパンツをはくと元気になる!!”
って、ちょっとブームになったことがありました。
それもちゃんと意味があって、当たってるんですよね。
元気になりたかったら、”赤いパンツ!!”
 身に付ける服やアクセサリー、身のまわりの色を
ちょっと工夫するだけで、明るい未来が開けるかも。

 ちなみに、子ども達に今好きな色を聞いて、この本で調べたら
それぞれの今の心理状態、結構当たっていてビックリでした。
posted by ふうたんかあちゃん at 16:40| ☔| Comment(2) | TrackBack(1) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月15日

「暮らしうるおう 江戸しぐさ」

◇「暮らしうるおう 江戸しぐさ」 越川 禮子

 「江戸しぐさ」という言葉を、初めて耳にしました。
人の心にやさしく潤いをもたらしてくれる、ちょっとしたしぐさや
心づかいの数々に、江戸の人々のあふれる知性と心を感じました。

 「江戸しぐさ」の基本は、相手を思いやる気持ちです。
一番中心になった考え方は、『お心肥やし』なんだそうです。
『美味しいものばかり食べてからだを肥やすのではなく、
心を豊かにする』ことなのです。

 今、この時代に一番求められているのは、IQではなくEQ
なのだと。EQとは、心の知能指数です。『自分の感情を把握する
能力と他人の気持ちを理解する能力。つまり、人間関係を築くための
力をあらわすもの』です。

 『EQとは、共感力、自己認識力、粘り強さ、楽観性、熱意、
衝動のコントロール力』であると。

 雨の日の「傘かしげ」に、見られるように、ほんのちょっとした
心配りで、とてもステキな贈り物をもらったような気持ちになります。

 ささくれ立った気持ちを、まあるく包み込んでくれる、
「江戸しぐさ」。
こういうものこそ、ずっと語り継がれていって欲しいと思います。
ラベル:EQ 江戸しぐさ
posted by ふうたんかあちゃん at 19:21| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月14日

「室の梅 おろく医者覚え帖」

◇「室の梅 おろく医者覚え帖」 宇江座真理

 おろくとは、死体のこと。
おろく医者とは、そう、今でいう検視官のことです。
奉行所検視役・美馬正哲は、紀州華岡清州に学んだ最新の医術で
物言えぬ屍の無念の声を聞く。
 奥さんは、お杏。若いのに産婆の仕事をばりばりこなす
キャリアウーマンです。お産は時間を選ばずに始まるので
当然お杏は、正哲の帰る頃には布団で休んでいるということも
しょっちゅうでした。
でも、それでも2人力をあわせて共働き家族をささえてきた。
 夫は、死に関わる仕事。妻は、生に関わる仕事、
正反対のようでも、おなじ命を扱う仕事、深いところで
つながっているのです。
 ともに乗り越えた苦労は、ふたりの絆を強くしていく。

 現在は、共働き夫婦がとても多くなってきました。
子どもを持っても働き続けられる企業も数々あります。
夜間保育園もあるそうですね。24時間預けることができるとか。
保育園に預けてでも、仕事を続けるかということに関して、
賛否両論もあるようです。

なにを隠そう、我が家も0歳児から保育園っ子です。
でも、親の愛にしっかりと芯が通って、ぶれていなければ、
子どもにもちゃんと伝わると思っています。
逆に、子への愛がふらついていると、すぐにばれてしまう
ものなんです。特に、親の不安は子にストレートにでるので
びっくりです。
親がぶれない愛を、子にそそぐこと。
そうすれば大丈夫!!
だって、それができるのは親だけですから。

ラベル:宇江座真理
posted by ふうたんかあちゃん at 15:13| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月11日

佐野洋子さんのこと

 5月3日の朝日新聞に、絵本作家の佐野洋子さんの記事が載って
いました。

佐野洋子さんといえば、あの絵本「100万回生きたねこ」の
作者です。
つい先日、同じく朝日新聞に「シズコさん」という本を出されたと
載っていましたので、早速本屋に偵察に行こうと思っていた矢先です。

「シズコさん」という本は、佐野さん自身のお母さんとの日々を
つづったエッセーということで、とても興味がありました。
だって、私にとって「100万回生きたねこ」という絵本は、
まさに幸せの原点を見せ付けられた、衝撃の一冊だったからです。
この絵本との出会いは、どれくらい前だったでしょうか。
息子に買ったのか、娘に買ったのかも覚えていないくらい前でした。

でも、読み聞かせているうちに声が詰まって、読めませんでした。
何回読んでも、何回読んでも、行間から、文字と文字の間から、
絵の中から、ねこの瞳の中から、いろんな声が聞こえてきます。
破けても、破けても、セロテープで修理して大切にとってあります。

この新聞の記事を見て、ショックだったのは、佐野さんががんで
余命2年と言われ、それから1年が過ぎているというじゃないですか。

記事のなかで佐野さんは、こうおっしゃっていました。

「私、がんがストレスになっていないのね。昔から死ぬことが
 ちっとも怖くない。目の前で家族がごろごろ死んでいったのを
 見てたから。望んでも望まなくてもそうなっていくってわかって
 いたから。たぶん、命って自分のものじゃなくて、周りのひとの
 ためのものだと思う。」
posted by ふうたんかあちゃん at 19:46| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月10日

家族力

◇「家族力」 山本一力

 これは、山本一力さんの「あかね空」なんですね。
生きていると、いろんなことがあります。
つらい事、悲しい事、楽しい事、幸せな事。
 くじけそうになったときは、支えてもらう人が必要です。
 幸せな事は、分け合う人がいるともっと嬉しくなります。

 家族は、頼りになるし、厄介でもある存在です。
でも、一つ一つの困難を、家族で一丸となって乗り越えていく事が、
家族育てでもあるのでしょうね。

 山本一力さんが直木賞を受賞された時、朝のワイドショーが
山本一力さんのご自宅までカメラで入り込んで、取材されている
のを偶然みていた事を、思い出しました。
気さくな感じの奥様が、ニコニコ笑っていらっしゃったのが
とても印象的でした。
ラベル:山本一力 家族力
posted by ふうたんかあちゃん at 19:05| ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年05月02日

「あかね空」

◇「あかね空」  山本一力

 何なのでしょう。読み終えた後のこの満足感は。
やっぱり、「だいこん」を書いた人だ〜。

 スリルでもサスペンスでもないのに、はらはらドキドキして
しまった。
豆腐職人の2代にわたる物語なのに、もうっ、家族の絆が
危なっかしくて。(ウチは、夫婦仲さえ危なっかしい・・・)
家族って、何の努力をしなくても、家族ですよね。
でも、何の努力もしなかったら結束は生まれないのですね。
家族という事実にあぐらをかいていたら、きっと不安定で
すごくもろいものなのかもしれない。
特に、大人になってしまうと、わざわざ口に出して言わなくても
解ってくれていると、思い込んでしまう事って多いと思います。
そして、ちょっとずつボタンを掛け違えてしまって、
お互いに、お互いのことを思っているから、心が痛む結果になる。
 同じ家族でも、家族でいることを頑張っている家族と、
頑張っていない家族では、絶対違うと思います。

 あかね空で思い浮かぶのは、小さい頃遊びつかれて家に帰る
自分の姿です。時計など持ち歩いていない頃、
「ゆうやけになったら、帰っておいで。」と、
母に言われて遊びに出ていました。
あかね空を見ながら、割ぽう着姿の母の姿と、夕食を思い浮かべたなあ。
あかね空こそが、母であり、家族の象徴なのだと私は、思う!!
・・・でも、横浜のこの辺では空が本当に小さくて、
ウチの子ども達は、あかね空なんて知っているのだろうか。
そんなことを思うと、そっちのほうにも危機感を感じます。
posted by ふうたんかあちゃん at 16:53| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月25日

「花まんま」

◇「花まんま」 朱川湊人

 (直木賞受賞作)
 この世とあの世を繋ぐものは、何なのだろうか。
子どもの頃の純粋な気持ちは、いつ、どこに落としてきたのだろうか。
子どもから大人になる変わり目は、いつだったのだろうか。

 少し前までは、生と死は人々の生活の中にあった。
お母さんが産気づけば、産婆さんが駆けつけたし、
年を取れば畳の上で、家族みんなに囲まれて見取られていった。

 2世代、3世代同居が当たり前で、冠婚葬祭は自宅で
とり行っていた頃。お盆がくると迎え火を焚いて、ご先祖様を
敬い供養していた頃。亡くなった人たちとも、あたたかいつながりが
あった。

 生きるという事は、いつか必ず死ぬという事。
死が日常の中にあった頃は、死に対する重みを知っていた。
今は、生も死も、病院の奥で行なわれていて、めったに私達は
触れる事さえできない。

 この本は、ちょっと昔、今よりはほんの少し生と死が
身近にあった頃の事を思い出す。
posted by ふうたんかあちゃん at 16:35| ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月20日

「ボケ老人、宮下じいさん絶好調!!」

◇「ボケ老人、宮下じいさん絶好調!!」 奥村美香

 先日、小学校の市民図書に行ったら、「廃棄処分にしますから、
好きなのあったら持って帰って〜」と、いわれてもらってきました。

 老人患者専門の吉田病院307号室。
「気がつくとどこからか浪曲のうなり節が聞こえてくる。
 それは、聞き覚えのある清水次郎長伝。」

 奥村さんは、付添婦として初めてこの病院に足を踏み入れました。
「ところが、院内に足を一歩踏み入れたとたん、”ウオーッ”とも
 ”ウヮーッ”ともつかない、動物のような叫び声が聞こえてくる。 
 もちろんここが動物園でも、野生の王国でもあるはずが無い。」
まさに、スタートからショッキングです。
老人患者専門と聞けば、静かにベンチか、車椅子に乗って、
陽だまりの中でにっこりと微笑んでいる・・・の図が頭をよぎって
いたのに。(題名からして、そうじゃないともうすうす感じて
いましたけど。)
 担当付添婦がこれまで何人も代わっている、ひとくせも、
ふたくせもある宮下じいさんとの、長い、長い付き合いが
はじまるのである。
続きを読む
ラベル:市民図書 読書
posted by ふうたんかあちゃん at 09:40| ☁| Comment(4) | TrackBack(1) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月19日

「日暮らし」下

◇「日暮らし」下  宮部みゆき

 佐吉をめぐる事件を中心に、人情厚い江戸の下町の人達の様子が
生き生きと伝わってくる。
 今回は、弓之助とおでこちゃんが活躍しているのもまたうれしい。
弓之助の美しさも利発さにも更に磨きがかかっている様子。
おでこちゃんも成長するごとに、おでこちゃんなりに悩みを抱え
頑張っている姿には、熱いエールを送ってあげたくなるくらいだ。
おでこちゃん!ファイト!!

 秋の高くなった空を表現するのに、
「空はすうんと晴れ日差しが明るい」とあった。”すうんと晴れ”
という表現など、すごいなあと感心。まさに、気がつくと秋に
なっていて、ふと空を見上げたときにびっくりするくらい高く
なっていたことに気がついた時など、まさに
”すうんと晴れ”だと思うのです。
 「杢太郎は顔も体も大きいが、目鼻立ちのひとつひとつもまた
大きい。ぐりぐりと目を瞠ると、目玉がはずれて落ちそうだ。」
などは、”杢太郎”という名前からしてそんな感じだが、その杢太郎
の顔がパッと頭に浮かんで、私の妄想癖が勝手に暴走をしてしまう
のに充分です。

 そうして、佐吉の事件は周りの人達の総動員で、何とか解決し
めでたしめでたし・・・となるのです。

が!私は、お徳がその後どうなったのか、弓之助やおでこちゃん
のこの先がとても知りたくて仕方がありません。
posted by ふうたんかあちゃん at 16:54| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

「日暮らし」上

◇「日暮らし」上  宮部みゆき

 「ぼんくら」のその後・・・でした。
わあ、お久しぶり〜!!元気だった〜?
うれしくて、思わず心の中で呼びかけてしまった。

岡っ引きの政五郎親分と一緒に住んでいる13歳の”おでこちゃん”。
井筒平四郎の甥である、「道行く女達が老いも若きも振り返る美形」
の、14歳の弓之助達がひよっこり、ひょっこり顔をだして、
とても懐かしかった。
 鉄瓶長屋で煮売り屋をしていたお徳さんも、相変わらず健在で
ほっとしました。
 鉄瓶長屋の差配の九兵衛の後にやってきて、とても苦労した佐吉も
お恵と所帯を持って幸せに暮らしていたが・・・。佐吉も今回も
大きな悩みを抱えていて、とんでもない事件に巻き込まれることに
なる。
 「ぼんくら」で、周りをがっちり固めていたキャストに加え、
また今回もユニークな人々の登場で楽しさ強力倍増!!です。
 下町の人情に心が温まります。
posted by ふうたんかあちゃん at 16:27| ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月09日

「雷桜」

◇「雷桜」 宇江佐真理

 雷が桜の木に落ちた夜、生まれて間もない庄屋の一人娘遊が、
何者かにさらわれた。両親は、必死に探したが何の手がかりも得られぬ
まま、十数年を過ごす。家族は遊の生存を頑なに信じ、片時も遊の事を
忘れずに過ごしていた。

 二人の兄達は、やがて逞しい青年に成長する。
次男の助次郎は、江戸に出て、後に紀伊五十五万石の殿様となる
御三卿・清水家の当主、斉道の中間として抱えられることとなる。
しかし、斉道は心の病を抱えている様子で、屋敷内外での狼藉を
繰り返していた。

 一方、庄屋の娘遊が、ある日突然、山から降りて来た。
馬に颯爽とまたがり、青年のような姿をした遊は、しかし、
「くっきりした眼、濃い眉、鼻筋は通り、きっと結んだ唇は
微かに桜色をしていた。」

 家族は手放しで喜び、涙し、早速家族の一員として遊を迎える。
しかし、長い年月山で暮らしていた遊は、普通の娘として生活
することは難しかった。

 助次郎は、主人である斎道の心の病を癒すのは、屋敷を一旦離れ
いっそ、山での静養が一番ではないかと考える。
そこで、斎道を実家のある村に案内した。そこで、斎道と遊が
運命的な出会いをする。

 美しく、切なく、哀しいラブストーリー。
まさに、互いの運命に翻弄され悩み苦しむ、若い二人。
どんなに愛し合い、思っていても決して結ばれる事はかなわない。
気がふれているのではないかと心配された、斎道が、ふと遊に
対する深い思いやりに涙が誘われる。
遊は、まさに凛とした生き方を全うしたのだと思う。

 遊の兄弟達も、両親も、本当にあたたかく遊を見守っている。
遊が何者かにさらわれたとはいえ、守ってあげられなかった歳月を
埋め合わせるかのように。

 遊をさらって、山の中でひそかに育てていた男も、また悲しい
運命だったのだろう。この男のことも、もう少し詳しく知りたかった
のが、心残りである。
posted by ふうたんかあちゃん at 17:40| ☔| Comment(2) | TrackBack(0) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月07日

「風が強く吹いている」

◇「風が強く吹いている」 三浦しをん

 走れ!「速くではなく、”強く”」。
目指すは、箱根駅伝。箱根の山は蜃気楼ではない。
襷をつないで上っていける、俺達なら。

走るという才能に恵まれ、愛しているのに、走ることから
見放されかけていた二人が、奇跡のような出会いをする。
万引きしたカケルを、ハイジが追いかけるという、
突然の出会い。
寛政大学の学生達が住む、今にも崩れそうなオンボロアパート竹青荘。
そこに伝説の高校生だった走(カケル)が入居して、10人になった。
その時、このメンバー10人で、箱根駅伝を目指す無謀な挑戦が
始まった。
@清瀬灰二(ハイジ)A蔵原走(カケル)B双子のジョージと
CジョータD黒人のムサEニコチン大魔王のニコチャン先輩
F司法試験合格者のユキGクイズ番組大好きのクイズ王キング
H紳士的な神童Iマンガオタクの王子
と、みな個性むき出しの10人達。ばらばらだったけど、
気が付くと結局夢をひとつに追いかけている。
走ることの意味と、真の”強さ”を求めて。
まさに超ストレート青春!!
読み進んでいくうちに、肩に力が入って「頑張れ〜!!」と
応援していた。駅伝は興味が無かったけど、これを読んでから
マラソン中継なんかも見るようになりました。

中学生の陸上大会に、子どもの応援で行くのですが、
知り合いの女の子の長距離の試合など、もう、胸が詰まって
応援できないんです。その子のお母さんは、大声で声援を送っている
横で、泣いてる私・・・
細っちい体で、精一杯、全力を尽くして、力いっぱい走っている姿を
みると、感動してしまって。その子、最後のほうでは脱水症状を
起こしていて、手先までしびれてゴールの記憶がなかったんですって。
でも、見事!全国大会まで行きましたよ。

子ども達にいつも、
「勝っても、負けても、泣ける試合をしなさい。」
と言って、試合に送り出します。
精一杯練習して、絶対に勝つという真剣な気持ちで臨んだ試合は、
勝っても、負けても必ず得るものがあるからです。

そんな、一生懸命を強く感じてとても気持ちよかった一冊です。
posted by ふうたんかあちゃん at 16:01| ☀| Comment(5) | TrackBack(1) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年04月01日

「ゴーン家の家訓」

◇「ゴーン家の家訓」

 あの日産のカルロス・ゴーン氏の妻、リタ・ゴーンさん
の本。
ゴーン家は、三人の子どもの母親であり、妻である。
リタさんが家族の中心になって生活しています。

あの、カリスマであるカルロス氏を支えているのは、
まぎれもなく、この妻、リタさんよりほかにはいません。

賢くて、強くて、やさしくて、母親の代表選手です。
主に家族や子育てに関する家訓が書かれています。

◎ゴーン家の家訓
 ・子どもたちの友達より、親であれ。
 ・危機には、臨機応変に対応する。
 ・サインを察知し、ことの是非を自分で考えさせる。
 ・欠点や、弱点を指摘する時は、いい側面をまずほめる。
 ・間違いに気づいたら、親でも子どもにきちんと謝罪する。
 ・真実を語るのが人生のよりよい生き方。
 ・家族にとって一番大切なのはだんらんと会話。
 ・ほしいものはただでは手に入らせない。
 ・子どもは、18歳で自由にさせる。
 ・家族の大きな決定は、必ず夫婦二人の同意で。
 ・妻は、夫の応援団長。
 ・どの国にいても、家族のいる場所がホーム。
など、25ヶ条にものぼる家訓があります。

母親が幸せなら、家族全員が幸せである。
家族の平和を保つ責任は、妻の肩にかかっている。

私も、そう思います。
お母さんが、笑っている家は家族みんな笑っています。
お母さんは、家の太陽です。
お母さんがいない家でも、お母さんに変わるひとが
笑って家族を照らさないと、子どもたちは、素直に明るく
育つことはできないと思います。

今、凄惨な事件を起こす少年たちが増えています。
これらは、すべて子どもたちの責任ではないと思います。
人間としての、責任や我慢などを教えてあげたのでしょうか。
子どもたちの心が冷え切ってしまう前に、やさしく暖めてあげる
ことのできなかった大人たちの責任も大きいと思います。

リタさんは、日本でレバノン料理のレストラン
「マイ・レバノン・カフェ」も経営されているとか。

私もこの本を子育てのバイブルにしています。
迷ったときや、困ったときは、必ず読み返しています。
聡明で、強く、たくましいリタさんに、一度お会いしてみたいなあ。
posted by ふうたんかあちゃん at 14:18| ☀| Comment(1) | TrackBack(1) | 本の宝箱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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プロフィール
一言:子どもは、高校1年生の息子、小学6年生の娘、小学3年生の次男の3人です。
長男が陸上をやっている影響か、娘は中学生になったら陸上部に入りたいそうです。
私は、去年から太極拳とお習字を始めました。本を読むのが大好きで、時間を見つけては図書館に本を借りに行っています。

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